レコーディングの流れと知っておきたいレコーディングの手法
ライブとレコーディングの違いとは?
ミュージシャンにとって大切な活動を2つ挙げるとすれば、それはレコーディングとライブとでしょう。レコーディングは制作した楽曲を作品に仕上げる場であり、その作品を表現する場がライブです。
ライブでは、観客の反応を感じながら楽曲を表現しますが、スタジオでのレコーディングで向き合うのは楽曲のみ。よりストイックに音と向き合うことになります。
それでは、レコーディングはどのような流れで行われるのでしょうか?この記事ではレコーディングの主な流れとレコーディングで使われる手法をご紹介していきます。
スタジオレコーディングとライブレコーディング
CDなどの音楽作品には大きく分けて2つの録音方法がとられています。一つは、レコーディングスタジオなどを使った作品で、こちらの方が圧倒的に作品数も多く、一つ一つの音を大切に作ることができるため、作品としてのクオリティも高くなっています。
そして、もう一つはライブ録音の作品です。これは、観客の入ったライブ会場に機材を持ち込み録音したもので、ライブの臨場感が得られる作品ができあがります。レコーディングスタジオに比べて細かい調整が難しく楽曲のクオリティは低くなりがちです。
スタジオレコーディングの一般的な流れ
レコーディングスタジオを使ってレコーディングを行うときの一般的な流れは次のようなものになります。
1.楽曲を完成させる
2.レコーディングのスケジュールをたてレコーディングスタジオをおさえる
3.録音する(レコーディング)
4.録音した音源を調整してLR二つのチャンネルにまとめる(ミックスダウン)
5.録音した複数の曲を一連の作品として聴けるように調整する(マスタリング)
レコーディングスタジオはスタジオにもよりますが、1時間単位や1日単位で料金が発生します。レコーディングスタジオに行く前に、すぐにレコーディングに入れる段階まで楽曲を仕上げておくことが必要です。
ライブレコーディングの一般的な流れ
ライブレコーディングの一般的な流れは次のようなものになります。
1.ライブの予定をたてる
2.ライブ時にレコーディングできるよう機材や人を手配する
3.ライブを行う(レコーディング)
4.録音した音源を調整してLR二つのチャンネルにまとめる(ミックスダウン)
5.録音した複数の曲を一連の作品として聴けるように調整する(マスタリング)
ライブレコーディングでは、ライブ会場に録音用の機材を持ち込みドラムの各パーツ・ベース・ギター・ボーカル・歓声などを別々に録音。その音源をスタジオに持ち込み、スタジオ録音の音源と同様の工程で作品に仕上げていきます。
レコーディング1:音をとる~レコーディング~
音を録音するという意味では、レコーディングは機材さえあればどこでもできます。自宅録音などはいい例で、騒音問題さえ発生しない環境であれば普通の部屋でも録音することは可能です。では、レコーディングスタジオを利用する意味はどこにあるのでしょうか?
それは、レコーディングスタジオには「良い音」を録音できる環境があるということです。一番大切なのは、雑音(ノイズ)がないこと。エフェクターなどは、入力されたすべての音に効果をかけてしまいますから、そこにノイズがあれば当然ノイズにも一緒に効果がかかってしまいます。
素材が良ければ、余計な味付けをしなくてもとても美味しくいただけるのは食材も音楽も同じで、良い作品をつくるためには、味付けよりも良い素材を集めることが重要になってきます。
「一発どり」と「バラどり」
ボーカリストのレコーディングでは、カラオケ状態までできあがった曲に歌入れをしますが、バンドなどの場合には「一発どり」と「バラどり」の2通りのレコーディング方法があります。「一発どり」ではライブの演奏のように一斉に演奏し、それを楽器ごとに録音します。
一発どりは通常の演奏に近く、ライブ感のある演奏はできますが、他の楽器に音が回り込んで録音されてしまうため、微妙な調整は難しくなります。
一方「バラどり」はドラム、ベース、ギター、ボーカルなどリズム楽器からメロディー楽器、ボーカルの順にバラバラに録音していく手法です。普段一斉演奏しかしていないと難しい面もありますが、細かいところまで音の調整ができます。
中間のやり方として、一度一発どりをして、その音に合わせて自分のパートを取り直していく手法がとられることもあります。なお、一発どりであっても、ボーカルは一人で取り直すのが一般的です。